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  • 小野 晶史

2020年6月号社説:コロナ関連の報道で思うこと

最終更新: 2020年12月11日

 マスメディアは決して専門家ではない。そのマスメディアによる情報の氾濫は大混乱を招く。今回の新型コロナ感染拡大のニュースを受けてそのことを痛感した。有効なワクチンが見つからない感染症の蔓延という非常に危険な事態となり、世界各国で多くの感染者、死亡者を出してしまったこの災害に対して、当然のことながら報道機関は様々な取材を行い、その被害の実態だけにとどまらず、対処法や対策の是非についてこれまで積極的に報道してきた。

 そこに何をいうものでもない。しかし、報道が加熱するあまり、様々な「専門家」が登場してきた。「本当に専門家なのか?」と疑いたくなるような多様な肩書の専門家が思うがままに持論を述べ、極論も含め異常なまでに情報が氾濫する場面ができたことは非常に残念だ。すべてのジャーナリストに該当するとは思っていないが、一部のメディアではあまりに情報操作的なニュースの取り扱い姿勢が見られ、愕然してしまう。医療関係の専門紙などで長く感染症の取材などをされてきた記者は別だが、今までそのような取材をしたことがなかった記者の中には経歴の定かでない「専門家」の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまっている方が少なからずみられる。「専門家」の肩書・能力やコメントの真偽の検証もできないままに無責任に報道していることは猛省しなければならない。

 元来、水産業界においても専門家の間で意見が割れることは多い。「ニホンウナギが絶滅するほどに減少しているかどうか」で研究者間でも意見が分かれているのだから、その他の案件でも「専門家が言っているんだから正しい」と盲信することは危険だ。少なくとも自らきちんと取材し、自身の見解をしっかりと持った上で「専門家」の意見を報道すべき。

 国難とも言える非常事態にあって、不勉強なマスメディアによる無節操な情報の氾濫は国民をミスリードしかねない。情報の判断を国民任せにしたいのだろうが、結果的に国民は玉石混合の情報を取捨選択できず、印象に強く残ったニュースだけを盲信して間違った行動をとってしまいかねない。マスメディアとして、こうした一連の報道を他山の石とし、自戒の念をもってこれからの報道に臨んでいきたい。

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