• 小野 晶史

2020年4月号社説:新型コロナウィルス感染拡大で日々の生活にも変化/水産業の「ライフライン」としてのあり方再構築を─ 日本のライフラインのあり方で思うこと ─

新型コロナウィルスの猛威はパンデミックとなって世界中に拡大、日本も一時的に落ち着きを見せていたが、やはりここに来てアウトブレイクの危険性が高まってきている。外出自粛とそれに伴うリモートワークと呼ばれる自宅での作業の推進で乗り切ろうとしているが、政府としても「長期戦」を仄めかす動きもあり、今後も緊張感を持って臨む必要がありそうだ。


ただ、今回の新型コロナウィルスの影響からか、これまでの世の中のあり方が徐々に変わりつつある。会議でもアプリを使ったネット会議で協議ができるようになってきており、導入が進む。リモートワークの整備で日々の勤務形態として必ずしも会社に出勤しなければならない事情は解消される可能性が高い。政府による「働き方改革」の提唱にもかかわらず現実的な導入はスローペースだったが、ここにきて様々な働き方のスタイルが許容されていく。


また、今回の感染拡大でマスク不足が顕在化することになった。マスクは様々な感染から国民の生命を守る意味も大きく、ある意味水道や電気、ガスと同じく「ライフライン」の一つと言えよう。そのマスクを海外の生産に依存していたことで今回の緊急事態において日本の基盤の弱さを露呈した。国民の生活に欠かせないものは何か、改めて「ライフライン」について考え、自給自足の体制を作っていく必要があるだろう。


日本の水産業も同様だ。現在の水産業において漁業者を含め、養殖業者も厳しいコスト環境で苦しい経営を続ける場面が多くみられる。これにより漁業者の廃業が相次ぎ、生産者が激減してしまったらどうなるのか。漁業や養殖業、特に海面の生産者は日本の海岸線を監視、守るための重要な責務を担っている。


その生産者が経営不振から次々撤退していくということは日本の国防力の脆弱化をも意味する。「マスク」が防疫により国民の生活を守るものであるとすれば、「水産業」は日本の国土を守る重要な役割を担っていると言える。「食糧の供給」という崇高な責務以上に水産業の果たす役割は大きい。


近年では海面養殖業者の中でも養殖トラフグの生産者がコスト割れから転廃業が続く。他の生産者が撤退することに対して、「海外から持ってくれば良い」と考えるのではなく、いかに日本の生産者を守るか、官民が一体となって考えていくべきであり、ここに「自由競争」の考え方を持ってくるべきではない。


今回のように「何か」が起きてしまってからでは遅い。日本国民の生命・財産を守るために何を守るべきなのか、政府は今回の災害を契機にしっかりと見定めていって欲しい。

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