• 小野 晶史

2020年9月号社説:資源・漁獲実績データ解析で今後の予想は可能か?シラスウナギの情報収集進みこれから予測の段階へこの10年の取材成果まとまり新たなステージへ

水産物の資源保全に必要な取り組みとして、何よりもまず資源量と漁獲量のデータ収集が欠かせない。完全なデータ収集は非常に難しく、ハードルは高いと言えるが、少なくともある程度間違いのないデータを集積して大まかでも資源量の概要を掴むことが大切だ。資源量を把握するということは資源のある場所をある程度突き止めていかなければならない。ただ、詳細な場所を公開することで資源の場所を荒らすケースが続発する可能性もあるため、サンクチュアリ設定して資源を守る必要がある。資源の存在場所とその数量をある程度特定することで実際の漁獲量も推定することが可能となる。


今シーズンのサンマは既にシーズン当初の段階で「不漁シーズン」が宣言されている。大

切なのはその内容が当たるかどうかよりも、そういう予想が出てくることである。予想すらできなければ水産物の安定的な利用と資源保全はできないということだ。シーズンにどれくらい獲れるか方向性が分かっていれば、過剰な漁獲や相場の暴騰を引き起こすことのないように事前の対策も講じやすい。


シラスウナギ漁はこれまで予測ができなかったが、近年の本紙でも様々な取材を敢行、その資源量、流通経路、地区別採捕量など、実態が明らかになりつつある。資源量と漁獲量を含めたデータ整備のお陰からか、次はシラスウナギ漁の予想データの整備を進めていく段階に入っている。


シラスウナギの生態は非常に興味深い。海で生まれて川へ遡上するまでの生活史において、地球と一体となった生活を送る。地球上の様々な環境の変化に影響を受けつつ、回遊するが、その資源・漁獲データによって、その生活を紐解いていくことができる。10年前には正確なウナギの資源・漁獲量のデータは存在せず、漁獲量の少なさが資源の少なさと安易に結

びつけられ、現在の「絶滅危惧」の烙印を押された。


この10年、研究界でどこまで資源量の研究が進んだか、明らかにするべきではあるが、本紙でもこの10年間にシラスウナギの生態の実態をある程度概括できるところまできた。今冬には新たなシラスウナギ漁が始まるが、既に本紙のデータ及び情報からは豊漁気配となっている。このデータが正しいか、しっかりと検証を進めつつ、シラスウナギの採捕の見通しをシーズンに向けてしっかりとまとめていきたい。

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