昨年から続くコロナの感染防止対策で強く思うことがある。感染防止で槍玉に上がり続けた外食産業だが、特に、チェーン店以上に個人経営のレストランなどが受けた被害はさまざまな意味でポストコロナの時代を迎えるにあたり、しっかりと捉える必要がある。
なぜ外食産業が槍玉に上がり続けたのか、感染の被害防止の観点からの「人流抑制」であれば大規模イベントやコンサート、映画・美術館なども同じだが、そうしたところは「感染対策をしていれば構わない」となる一方、外食産業に向けた集中砲火は続いた。医師会の長自らがイベント開催しているのだから「感染対策をしていれば構わない」ことを医師自らが証明しているようなものだが、外食関係はそうはならない。
「酒」が問題なのであればスーパーやコンビニでも深夜の酒類の販売を禁止すれば良い。いっそのこと禁酒法時代のアメリカを再現してみてはどうだろうかとすら思いたくなる。
いろいろ言ってみたが、何が言いたいのか。外食産業は「人身御供」とされたのではないかと思う。人流規制を強化したい政府として、映画・イベント業界やスーパーマーケット、百貨店、コンビニなどの大きな業界組織を抱えるところとは極力喧嘩を避けたい。ビール業界にも「スーパーやコンビニ」という抜け穴を残しつつ、外食関係のみにしわ寄せが行くような酒類販売策を実施したのではないかとすら思える。
飲食業界の抱える問題とも言えるが、外食チェーンなどの「企業」とは別に、個人店や高級割烹、専門料理店などの高級料理店を始めとした個人店の世界には圧力団体となり得るような政治的な活動を展開できるまとまった業界団体が存在しない。料理店のみにしわ寄せがいっても、文句を言うのはテレビや新聞などの大手マスコミくらいで、政治家にとっては怖くもなんともない。結果的に「一番文句を言いやすい」業界だったのではないか。
これまで料理店業界は強い独立心の下で組織や権力に阿ることなく料理店としての矜持を貫いてきた。その結果、組織力に弱く、今回のように集中砲火を浴びる結果となったことは残念だが、このような事態を踏まえ、今後は料理店としてもしっかりした組織を作り、政府にも物申すことができるような体制を作っていく必要があるのではないか。「やられっぱなし」「言われっぱなし」では良くない。全国に数ある料理店が一致団結すれば、これからも再来する可能性のあるこのパンデミックにもしっかりと対応できる筈。日本の食文化を支える大切な料理店業界であり、これからの業界の将来にしっかりと注目していきたい。
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