• 小野 晶史

2020年2月号社説:トラフグやシラスウナギの漁獲データ作成急務 正確な漁獲データがあってこその資源保全   政府による漁獲データ作成に大いに期待─ 漁獲データと資源保全について思うこと ─

今シーズンのシラスウナギ漁は予想以上の豊漁モードとなっており、これからの後半戦にも大いに期待が高まっているが、その一方で天然トラフグ、サンマは未だかつて経験したことのない不漁となっており、今年の水産業界でも好不漁のニュースが飛び交う。


この好不漁の原因は様々だが、何れにしても不漁の時ばかり原因追及して豊漁の原因を突き止めようとしないのは片手落ちでしかない。好不漁にはそれぞれ原因があり、分析をしなければならない。研究者はじっくりと取り組んでほしいが、肝心の大手メディアは安直に不漁報ばかり取り上げ、「絶滅する」「資源枯渇」などと都合の良い言葉ばかり切り取り、ミスリードしてしまう。


シラスウナギの好漁は降水量、サンマやトラフグの不漁は海水温や海流に影響を受けているという推測も成り立つが、それでも説明できない時に限って資源問題が浮上する。資源問題となった際には別のステージでの検証が必要だが、その前にしっかりとした漁獲実績に対する検証作業が必要となる。


しかしながらシラスウナギとトラフグはサンマのように詳細な資源データがないだけでなく、漁獲データも正式には存在しない。漁獲データと資源データは決してリンクするものではないが、少なくとも資源データを取りまとめ、資源保全を進めるには漁獲データは必要だ。シラスウナギは許可外の採捕実績の取りまとめができないことが原因だが、トラフグは交雑種の存在もあり、トラフグだけの水揚げ量を管理することは至難の技となっており、それぞれ大きな問題を抱える。結果的に水産庁でもシラスウナギ採捕量はいけいれ量から輸入量を引いた数字、トラフグは「フグ類」としてのデータしか存在しない。


「完全」ではなくてもある程度正確なデータがあってこその資源保全と言えるのではないだろうか。ウナギとトラフグは資源保全の根幹に関わる最も大事なデータがあまりにも脆弱すぎるため、資源保全という観点からも早急に漁獲データの整備が必要となる。


いつどこでどれだけ獲れるのかが分かって初めて都道府県別の漁獲規制や漁期の調整が可能となる。現在、シラスウナギは各県で独自に禁漁期を設定しているが、正しい漁獲規制に基づいて行っているのは利根川エリアのみでそれ以外は池入れ需要を上回った時点での休漁措置となっており、資源とは関係ない規制だ。正しい漁獲データに基づいた規制を行ってこそ資源の保全は可能となる。政府もシラスウナギやトラフグの漁獲データ作成に本腰で臨む時が来ていると認識すべきだろう。

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