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2025年9月号社説:資源の再評価をしないままに進む国際的な規制策/附属書掲載推奨派の活動活発で「クジラ」の悪夢再来か─ ワシントン条約締約国会議に向けた様々な動きについて ─
ワシントン条約の締約国会議に向け、時間は無くなってきている。業界では残した時間も少ないために懸命に取り組みを続けているが、国際条約に関する活動となるため、「業界がまとまった」活動ではスピードも遅く、意見の集約で活動の幅は広がりにくい。締約国会議までにどこまで協議を進めていけるか、非常に難しい状況が続く。 一方で、附属書掲載を望む人々は欧州政府からの提案が提出されてから一気に活動を広げ、各所でいかにウナギの流通が不透明で資源を損なうような事態を招いているかを滔々と述べる。そのメンバーは業界関係者からすると「いつもの面々」ではあるが、前回の失敗を糧にさまざまなアプローチをかけるなど、提案承認に向けてどれだけ本気かを感じさせる。 「教授」という肩書きの学術関係者はその学生たちを総動員するだけでなく、マスメディアへの持論の発信も水面下で積極的に進める。その意見を鵜呑みにしたマスメディアの記者からの発信も増えるが、今後、多方面からゲリラ的に「ウナギを附属書に掲載する」ことがどれだけ正義であるのかの発信が行われる。 「嘘でも百回言えば真実になる」ことを目の当
11月23日読了時間: 3分
2025年10月号社説:中国の積極姿勢で東アジアの団結もより強固に国際社会に資源実態をアピールする良い機会か─ 第20回ワシントン条約締約国会議に向けて ─
今回、本紙取材において第20 回ワシントン条約締約国会議における中国政府の積極的な関与の姿勢が窺えたことは大きな意味を持つ。また、中国でも総量規制に乗り出す方向で調整を進めていることも今後に大きな影響を与える。 これまで総量規制に消極的だった中国サイドの方針転換は、今回の締約国会議ではなく、今シーズンのシラス大量池入れがきっかけとなったようだ。中国国内のウナギ産業の安定的な発展を目指す上で、シラス池入れの総量規制が必要であると認識したと言える。 今回の締約国会議で最も大きな争点とされるのは「IUU漁業の存在」や「絶滅危惧種であるか否か」だけではない。最大の消費国である中国、そして日本の産業界が「どれだけ資源の保全に取り組んでいるか」ということにある。 国際社会から言われなくとも、10 年以上に渡り、東アジアのウナギ産業界は着々と資源保全に対する取り組みを進めている。国際社会の無理解な規制が逆にその邪魔をする可能性が高いということをどこまで訴えられるかがポイントだ。 中国で進めていく総量規制は近年潤沢に採捕されるシラスウナギの採捕事情を踏まえ、今シ
11月23日読了時間: 3分
2025年11月号社説:アングィラ種の規制への経緯をもう一度思い出すべき絶滅しない魚を絶滅危惧種とし貿易規制までかける暴挙─ロストラータ種の附属書Ⅲ掲載で正しい理解を ─
ワシントン条約の締約国会議の話が続くが、ウナギでは日本は大西洋クロマグロやサメ類などの事例を中心に検討を続けるが、完全に抜け落ちているのがアングィラ種の附属書掲載の事例の検証だろう。 アングィラ種はいつ附属書に掲載され、いつレッドリストの絶滅危惧種に掲載されたのか、国際貿易規制はいつなのか、欧州政府が輸出証明書の発給を止めた理由と時期は…、こうしたことについて詳細に調査をした形跡はない。 上記の項目すら、しっかり調査せず、クロマグロやサメの調査をいくら懸命にしても今回の事例の詳細はなかなか見えてこない。 大きな誤解は今も「アングィラ種を日本が輸入することが可能」ということだろう。なぜ、輸入が可能かについて、熟知しなければならない。 実際に現実は簡単ではない。アングィラ種の規制がどれだけ複雑かつ曖昧で、個人の感情の入り混じった思惑による規制であるか理解する必要がある。 問題としたいのは今回の締約国会議の提案評決に先駆けて行われたドミニカ共和国によるロストラータ種を附属書Ⅲに掲載するというある意味暴挙とも言えるような提案だ。これはすでに決定したが、そ
11月23日読了時間: 3分
シラスウナギ漁の好不漁と相場乱高下・1
資源が安定してるウナギがなぜ資源枯渇だ、絶滅危惧だと言われてしまうのだろうか。何よりも大きいのは稚魚であるシラスウナギの漁獲量増減の激しさによるところが大きいだろう。しかし、ニホンウナギの資源量データは不十分だ。数量的なデータは日本の内水面・汽水域でのシラスウナギ、そして成魚の天然ウナギの漁獲量、そして国内外養殖場の池入れ量しか存在しない。そのシラスウナギの漁獲量も申告制の信用度の低いデータしか存在しない。漁獲量ですらまとまっていないのに、資源量の議論を繰り返してきたわけだが、片手落ちどころの話ではない。私はこの6年間、シラスウナギの漁獲量をはじめ、様々な取材を進めてきて独自の考え方を作り上げるに至ったが、それは後日説明するとして、これまでのウナギの資源問題における片手落ちの調査・研究による絶滅危惧種論には言葉もない。 こうした絶滅危惧種論があちこちで声高に唱えられてしまう背景にあるのがシラスウナギの好不漁の激しさに加え、その相場高騰劇の激しさと言える。なぜ、この5年の間に最高値のキロ400万円もするシラスウナギの価格が飛び出したのか。それはメデ
11月23日読了時間: 10分
2022年1月号社説:「常識」を盲信せずに常に疑う姿勢の必要性を痛感ウナギ資源問題での「常識」の基盤の脆弱さ感じる「常識」に囚われない研究・取材姿勢が求められる─2022年の年頭にあたり─
「常識」とは必ずしも「真 実」ではなく、時代によっ て変わっていくような脆い ものであり、時には歴史に 翻弄されていくものではな いかと思う。一つの「常識」 には先人たちによる多くの 歴史的事実や知見が積み重 ねられていることは言うま でもないが、誰もが疑う余 地のないものとして一般に 定着することで逆に検証す る姿勢が弱まっていく。な ぜその「常識」が出来上がっ たのか、その成立の過程な どをしっかりと検証してい くと、必ずしも普遍のもの ではなく、思いのほかいい 加減で「真実」からかけ離 れたものであったりもす る。 なぜ、新年早々にこうし た話をするのか、近年のウ ナギ資源問題を見て、特に 強く感じることがあったか らだ。ウナギの生態につい て、産卵場や海遊システム など 50 年前には多くのこと が解明されていなかった が、多くの研究者の功績か ら今では産卵場が特定さ れ、その生態も明らかに なってきている。人工種苗 の生産技術開発が進んでお り、まさに日々成果を上げ てきているが、一方で研究 が進んでいるとは言えない 分野もある。 それ
11月23日読了時間: 3分
2020年6月号社説:マスメディアは無節操な情報の氾濫を猛省すべき/混合の情報検証はメディアの責務と知るべき─ コロナ関連の報道で思うこと ─
マスメディアは決して専門家ではない。そのマスメディアによる情報の氾濫は大混乱を招く。今回の新型コロナ感染拡大のニュースを受けてそのことを痛感した。有効なワクチンが見つからない感染症の蔓延という非常に危険な事態となり、世界各国で多くの感染者、死亡者を出してしまったこの災害に対...
2022年2月7日読了時間: 2分
2020年5月号社説:生産者と料理人の保護は食文化政策の両輪/食文化振興の政策は新たなフェーズへ入るべき─ 新型コロナ感染拡大被害を見て思うこと ─
今年に入り世界中を混乱の渦に陥れた新型コロナウィルス感染のアウトブレイクは欧米からアジアまで甚大な被害を引き起こし、経済の急速な後退を招いてしまった。ここからの経済回復は民間の力だけでは足りないことは言うまでもない。政府の強力なテコ入れでよりスピードアップした回復策が求めら...
2022年2月7日読了時間: 2分
2020年1月号社説:現状の不満の解決を非合法な手法に頼ることの愚/日本の司法制度批判の無意味さ─ 2020年冒頭にメディアを賑わせたニュースで思うこと ─
2020年は東京オリンピック・パラリンピックを控え、日本にとって重要な一年となる。訪日外国人観光客の大幅な増加が見込まれ、消費の盛り上がりも期待される。特に日本の水産物を海外にアピールするまたとないチャンスであり、日本でしか味わえない美味しい魚介類を広く知ってもらえるよう、...
2022年2月6日読了時間: 2分
2020年2月号社説:トラフグやシラスウナギの漁獲データ作成急務 正確な漁獲データがあってこその資源保全 政府による漁獲データ作成に大いに期待─ 漁獲データと資源保全について思うこと ─
今シーズンのシラスウナギ漁は予想以上の豊漁モードとなっており、これからの後半戦にも大いに期待が高まっているが、その一方で天然トラフグ、サンマは未だかつて経験したことのない不漁となっており、今年の水産業界でも好不漁のニュースが飛び交う。...
2022年2月6日読了時間: 2分
2020年3月号社説:ウナギ資源研究の早急な方向性の見直し求められる/カギはシラスウナギの県別・日別の採捕量データか─ ウナギの資源量データについて思うこと ─
誰もが実感し始めたと思うが、ジャポニカ種、ロストラータ種、アングィラ種等のウナギ属魚類が絶滅危惧種であるということは現実的ではない可能性が高い。野生生物であるために絶滅の危険性はゼロとはならないが、「食べるな」と言わなければならないほどの火急の保護策が必要な状態であるとは言...
2022年2月6日読了時間: 2分
2020年4月号社説:新型コロナウィルス感染拡大で日々の生活にも変化/水産業の「ライフライン」としてのあり方再構築を─ 日本のライフラインのあり方で思うこと ─
新型コロナウィルスの猛威はパンデミックとなって世界中に拡大、日本も一時的に落ち着きを見せていたが、やはりここに来てアウトブレイクの危険性が高まってきている。外出自粛とそれに伴うリモートワークと呼ばれる自宅での作業の推進で乗り切ろうとしているが、政府としても「長期戦」を仄めか...
2022年2月6日読了時間: 2分
2020年7月号社説:記者は多くの人の気持ちを想像することが大切/事実を伝えるだけでは記者の仕事は不十分─ ウィークリーレポート383号のコラムを振り返って ─
新聞記者は「想像力」を常に維持しながら記事を書かなければならない。先週のコラムで書いた記事の内容で痛烈に感じたことである。先週のコラムでは長らく続いた巣篭もり需要から1日だけ開放され、外食したことを書いた。それ自体は大きな問題ではなかったのだが、記事中で言葉が足りなさすぎた...
2022年2月6日読了時間: 2分
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