• 小野 晶史

2021年11月号社説:料理店の声をダイレクトに政府に届ける組織に/広域ジャンルのオーナーシェフが集い活動を─ NPO法人ふぐ食応援大使の会の担う役割 ─

昨年設立されたNPO法人ふぐ食応援大使の会だが、フグ業界側から見た位置付けはフグ料理人の育成などの使命を背負ったフグ食振興と消費拡大のための組織ではあるが、チェーン店ではない「料理店」のオーナーシェフによって構成される組織という側面から見るとまた新たな位置付けも見えてくる。


日本の外食産業は冷凍品や加工品などの既製品を使用した格安の価格帯で多店舗展開されるチェーン店よりも、高価格帯の客単価設定でオーナーシェフにより運営されるさまざまなジャンルの料理店の存在が非常に大きい。


しかし、企業として一般社団法人日本フードサービス協会の傘下に入っている外食チェーン店に対し、高級割烹・料亭やイタリアン・フレンチ・中華等の高級レストランは多くがそうした所属もなく、公的な団体の活動として活動は数多ある調理師会などの組織に頼るしかない状況でもあった。


個々に様々な業界でオーナーシェフによる小規模な組織は存在するものの、多様なジャンルにわたる料理店のオーナーシェフが参加する公益団体は殆ど存在しない。一部あるようだが、活発な広報活動もないので存在感は非常に薄い。


そうした状況が今回のコロナ禍での料理店の立場を弱くしてしまったことは議論の余地がない。様々な規制に対する抗議を声高に叫ぶ医療関係者やイベント関係者に対して、料理店オーナーは黙って従うしかない状況を強いられてきたが、それに対する不公平感は言うまでもないだろう。


そうした不公平感を引き起こしたのは「声を上げる場所がない」ことにあったとも言える。今回のNPO法人ふぐ食応援大使の会はフグ業界としても必要に迫られて設立されたものではあるが、「強力な情報発信の必要性」を強く認識した包括的なジャンルの料理店のオーナーシェフを軸に構成された組織であることからも、今後、料理店の声をダイレクトに政府に届けていくための組織としての活動が期待される。


また、フグ免許や交雑種・フグ毒の研究を始めとした制度・学術面の取り組みは一般社団法人全国ふぐ連盟でもこれまで進めてきたが、その取り組みも都道府県の「フグ処理者認定基準の平準化」が進み、東京都でも新たな試験制度が導入されるなど、チェク実に成果を上げてきている。


今後は資格者の指導を行う指導者の育成、そして将来の資格者を増やすための取り組みが必要とされるが、そうした取り組みはこれまでとは違った視点から動く必要がある。この新たなNPO法人が様々な外食関係者の思いに対する受け皿となることを期待したい。

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