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  • 執筆者の写真小野 晶史

2021年2月号社説:「ポストコロナ」を見据えてしっかりとした制度構築を!!/「世界最高」の日本の医療制度が脆く崩れ去る悲劇─ 新型コロナウィルス感染拡大第3波で思うこと ─

新型コロナウィルス感染拡大第3波で緊急事態宣言が出されたことは様々な意味で問題を提起している。日本の医療制度は国民皆保険制度に支えられ、多くの国民の生命を担保することができており、世界最高の水準にあることが謳われてきた。無論、医師や看護師の技術レベルはそうであると信じて疑わないが、今回の第3波で欧米ほどの被害が出ていないにもかかわらずほぼ医療崩壊のような状態に達してしまった。この現状に多くの国民は「何故」と感じたことだろう。


端的に言ってしまえば日本国民は大規模テロや感染症被害を受けてこなかった。一方で海外ではテロやウィルスによる感染症被害に晒され、多くの人命が失われてきた。隣国台湾や中国も含め緊急事態での対応はしっかり練られていた。「平和」を「謳歌」してきた日本では幸か不幸か有事や緊急事態での対応策は徹底していなかった。感染症被害は自然災害や鳥インフルエンザや口蹄疫、BSE等の家畜の感染症被害とは違う。そうした災害の対策はしっかりとしていたのの、こと未知のウィルスとなると今回のように右往左往することになった。


政府としては何らかの有事を想定はしていただろうが、少なくとも国民レベルでは今回のような「有事」に対する対応を肌感覚で認識できていなかったのではないか。今後も日本ではそうした緊急事態を想定したマニュアル作成を急ぐべきだろう。


この件で思い出すのは加計学園での野党やマスメディアを含めた情けない痴話騒ぎだ。当該の件では野党やマスコミの獣医の需要に対する認識の甘さが際立ったが、今回でも医療従事者が足りないことの問題意識が希薄な気がする。医療従事者はライフラインの一つであると考え、育て増やすことを考えなければならないが、既得権益者を含め、今の制度ではそうしたことすら難しいようだ。


今回のようなウィルスによる被害が今後も起きないとも限らないし、ましてやバイオテロが起きないとも言い切れない。その時には国内の全ての医療関係者を動員して事態の打開に当たらなければならない。そうした有事を常に想定し、医師・看護師は自国でしっかりと確保しておく必要があることは言うまでもない。今後は「ポストコロナ」という言葉がキーワードとして飛び交うだろう。このコロナの被害が収束した後に、制度設計の変更も含め、対策をしっかりと講じていかなければならない。緊急事態宣言を出し、医療関係者や事業者に税金から捻出したお金をばら撒き続けることは解決策とはならない。ポストコロナを見据えて国のあり方を全国民で考えるべきだろう。

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