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2022年1月号社説:「常識」を盲信せずに常に疑う姿勢の必要性を痛感ウナギ資源問題での「常識」の基盤の脆弱さ感じる「常識」に囚われない研究・取材姿勢が求められる─2022年の年頭にあたり─

  • 執筆者の写真: 小野 晶史
    小野 晶史
  • 2025年11月23日
  • 読了時間: 3分

「常識」とは必ずしも「真

実」ではなく、時代によっ

て変わっていくような脆い

ものであり、時には歴史に

翻弄されていくものではな

いかと思う。一つの「常識」

には先人たちによる多くの

歴史的事実や知見が積み重

ねられていることは言うま

でもないが、誰もが疑う余

地のないものとして一般に

定着することで逆に検証す

る姿勢が弱まっていく。な

ぜその「常識」が出来上がっ

たのか、その成立の過程な

どをしっかりと検証してい

くと、必ずしも普遍のもの

ではなく、思いのほかいい

加減で「真実」からかけ離

れたものであったりもす

る。

なぜ、新年早々にこうし

た話をするのか、近年のウ

ナギ資源問題を見て、特に

強く感じることがあったか

らだ。ウナギの生態につい

て、産卵場や海遊システム

など

50

年前には多くのこと

が解明されていなかった

が、多くの研究者の功績か

ら今では産卵場が特定さ

れ、その生態も明らかに

なってきている。人工種苗

の生産技術開発が進んでお

り、まさに日々成果を上げ

てきているが、一方で研究

が進んでいるとは言えない

分野もある。

それは産卵場と東アジア

を結ぶ回遊システムだ。今

まで様々な仮説のもとに研

究が進んでいるが、確実に

わかっているのは産卵場が

北緯

10

20

度・東経140

〜150度の間に存在する

ということ。しかしそれ以

外のデータについては推論

ばかりで実際には解明され

ていない。本紙でも7年前

から資源問題も含めて独自

に取材を進めてきている

が、調べれば調べるほど、

今「常識」とされているこ

とは違っているように思わ

れる。

詳細は6-7面で触れる

が、科学は万能ではない。

今の「常識」を常に疑いな

がら自ら検証していく必要

があることは言うまでもな

い。そして疑問点を見つけ

たら徹底的に調べてみるこ

とが必要だ。私は科学者で

はないが、「なぜ」を突き

詰めていけばいくほど今の

ウナギの資源問題はまだま

だ検証が必要なのではない

かと思わざるを得ない。

ウナギの産卵場の位置は

疑いようのない事実である

と思われるが、そこからの

東アジアまでの海遊システ

ム、さらには産卵場海域の

詳細な環境データなども

揃っていない状況で、まだ

まだ調査を進めていく必要

がある。かつてはエルニー

ニョ現象とシラスウナギ漁

の実績との相関関係を示唆

する「エルニーニョ仮説」

なるものも登場したが、決

定打とはなっていない。論

文などの研究成果としてま

とめていくことは研究機関

の専門家に任せるとして、

私としては何ができるの

か、やはり現場の感覚を研

ぎ澄まし、事実を突き詰め

ていくことにあるだろう。

今年の課題としたい。

 
 
 

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