top of page

2020年6月号社説:コロナ関連の報道で思うこと

  • 執筆者の写真: 小野 晶史
    小野 晶史
  • 2020年6月5日
  • 読了時間: 2分

 マスメディアは決して専門家ではない。そのマスメディアによる情報の氾濫は大混乱を招く。今回の新型コロナ感染拡大のニュースを受けてそのことを痛感した。有効なワクチンが見つからない感染症の蔓延という非常に危険な事態となり、世界各国で多くの感染者、死亡者を出してしまったこの災害に対して、当然のことながら報道機関は様々な取材を行い、その被害の実態だけにとどまらず、対処法や対策の是非についてこれまで積極的に報道してきた。

 そこに何をいうものでもない。しかし、報道が加熱するあまり、様々な「専門家」が登場してきた。「本当に専門家なのか?」と疑いたくなるような多様な肩書の専門家が思うがままに持論を述べ、極論も含め異常なまでに情報が氾濫する場面ができたことは非常に残念だ。すべてのジャーナリストに該当するとは思っていないが、一部のメディアではあまりに情報操作的なニュースの取り扱い姿勢が見られ、愕然してしまう。医療関係の専門紙などで長く感染症の取材などをされてきた記者は別だが、今までそのような取材をしたことがなかった記者の中には経歴の定かでない「専門家」の言葉をそのまま鵜呑みにしてしまっている方が少なからずみられる。「専門家」の肩書・能力やコメントの真偽の検証もできないままに無責任に報道していることは猛省しなければならない。

 元来、水産業界においても専門家の間で意見が割れることは多い。「ニホンウナギが絶滅するほどに減少しているかどうか」で研究者間でも意見が分かれているのだから、その他の案件でも「専門家が言っているんだから正しい」と盲信することは危険だ。少なくとも自らきちんと取材し、自身の見解をしっかりと持った上で「専門家」の意見を報道すべき。

 国難とも言える非常事態にあって、不勉強なマスメディアによる無節操な情報の氾濫は国民をミスリードしかねない。情報の判断を国民任せにしたいのだろうが、結果的に国民は玉石混合の情報を取捨選択できず、印象に強く残ったニュースだけを盲信して間違った行動をとってしまいかねない。マスメディアとして、こうした一連の報道を他山の石とし、自戒の念をもってこれからの報道に臨んでいきたい。

 
 
 

最新記事

すべて表示
2026年4月号社説「養殖業の要である配合飼料原料の魚粉の安定確保が必要/魚粉に代わる代替タンパクの開発改めて急がれる時代に」─ 不安定な世界情勢下で養殖業界に求められることとは ─

世界情勢は変わらず不安定な状態が続く。養殖業に使用する魚粉・魚油は輸入に大半を依存するため、ミール・油脂の国際相場は国際紛争などの影響を強く受けてしまう。原油やミールの国際相場が上昇すると、魚粉・魚油相場も同様に上昇することになる。 日本の養殖業の安定を実現するためには魚粉の安定供給体制を整えていく必要がある。仮に現在展開されているウクライナやイランでの紛争が終了したとしても、すぐに新たな紛争が発

 
 
 
2026年3月号社説「今、求められるのは最新のニホンウナギ資源量調査の実施/数理解析による資源評価で絶滅するか否かの正しい認識を」─ 3年後のワシントン条約締約国会議に向けて今すべきこと ─

今年、ウナギ業界で取り組んでいかなければならないことで筆頭格となるのは最新の資源量調査の実施だろう。3年後のワシントン条約の締約国会議に向け、業界としてはまずニホンウナギに対する「絶滅危惧種」という烙印を外す努力をしなければならない。 ただ、資源量調査の実施に向けてなぜだか足並みは揃わない。研究者の協力が得られないことも大きいが、「絶滅危惧種」ではないということを認めたくない動きも存在する。 20

 
 
 
2026年2月号社説「活鰻相場は池入れしたシラスウナギの価格で決定する/相場安定にはシラス相場を上げさせない取り組み必要」─ 池入れ数量が同水準でも相場が暴落した昨秋を振り返る ─

昨年末からの活鰻相場の動きを見ていて気になることがある。その一つは日本の池入れ量が変わらないにも関わらずシラスウナギの相場が下がったことで池揚げ相場も下がったことだ。 一般に相場は需給バランスで決まる。本来、供給量と需要量がずれなければ相場は大きく動かない。しかし、昨秋には池入れ数量が変わらないにも関わらず、活鰻相場は下落した。 昨秋の相場下落の要因はただ一つ、シラスの池入れ相場が大幅に下がったこ

 
 
 

コメント


  • アクアカルチャーFacebook
  • Twitter・アクアカルチャー株式会社
  • アクアカルチャーレポートチャンネル
  • Google Round
  • LinkedIn Round

© 2012 by Aquaculture. co.ltd Proudly created with Wix.com

 

 
bottom of page